一票の格差
お世話になっております。
今日ニュースで「一票の格差」が最大2.08倍だった去年の10月の衆院選は投票価値の平等に反し違憲だったとして、広島県、山口県の11選挙区の選挙無効を求めた訴訟で、広島高裁は請求を棄却し、「合憲判断」をしたと報じられていました。
憲法の勉強を始めると結構序盤で出てくる論点で、行政書士試験でも重要な一票の格差の問題。
今回は私の復習もかねて一票の格差・平等選挙についてまとめてみたいと思います。
目次
一票の格差とは
前提として憲法では次のように定められています。
憲法 第14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。第43条
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
これは法の下の平等を定めた一文で、この平等には当然に投票価値の平等も保障されると考えられています。
例えば、選挙区Aで候補者が一人当選するためには2万票で足りるのに、選挙区Bで当選するには4万票必要だとすると、選挙区Aの1票には2倍の価値があるということになります。
国会議員は地域の代表ではなく国民全体の代表なので地域ごとで一票に格差があるのはおかしい!と訴訟になりました。
一票の価値が違憲のときはどうなるの?
議員定数不均衡違憲判決では、衆議院議員総選挙における議員定数配分について、「投票価値の格差の最大値(1対4.99)のように、その不平等が一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達し、それを正当化する特段の理由が示されず、かつ、憲法上要求される合理的期間内に是正が行われていない場合には、定数配分規定全体が違憲」としました。
違憲?じゃあ選挙のやり直し?とも思うのですが、現実に一票の格差はあるし、選挙区が細かく決められ、人口が多いところと少ないところは絶対に出てくるため、平等になる見通しもない(現実的に不可能)ので、続けて「選挙を無効にすれば憲法の所期しない結果が生ずるので、一般的な法の基本原則ともいえる事情判決の法理により違法宣言にとどめるのが相当である」としました。
事情判決とは
行政事件訴訟法上の制度で行政処分等が違法だった時、裁判所はこれを取り消すのが原則ですが、「取り消す取り消すことにより公共の福祉に適合しないといった事情がある場合」にその事情を考慮して請求を棄却できる制度のこと。
上記の判例では行政事件訴訟ではないので事情判決をすることは本来できませんが、事情判決の法理を援用をすることで違法であるが無効とはしないというウルトラCを裁判所が繰り出しました。
まとめ
今回は一票の格差問題について振り返ってみました、何度も何度も裁判されていて、参議院と衆議院で判決が違ったりする面白い論点です、行政書士試験でも大切なポイントになるので、是非参考にしてみてください。
今回はこのへんで。