家系図作成は行政書士業務なのか?

家系図作成

お世話になっております。

行政書士の業務は種類が非常に多く、これは本当に行政書士業務なのだろうか?と疑問に思うものも少なくありません。

そんな中、マスコミに取り上げられたり裁判になったりして最近よく目にするのが家系図作成業務です。家系図作成を専門とする行政書士も多く、その需要は高まっていると考えられます。

今回は家系図作成について行政書士が受任してもいいものなのか考えていきたいと思います。

目次

行政書士としての業務の定義

まず行政書士法に定められている業務についてみてみましょう。

第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC1000000004

行政書士業務とは「官公署に提出する書類」又は「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成とされています。つまり、行政書士業務として受任するためには家系図作成が「事実証明に関する書類」としてみ認めれるかが問題となります。

この点、平成22年12月20日 観賞用家系図作成に係る行政書士法違反事件の最高裁判決を受け、日本行政書士連合会の見解としては「観賞用又は記念用として作成・使用されるものについては、行政書士の業務とされている事実証明文書には当たらないと理解するのが相当である。」としています。

つまり、家系図作成は行政書士の業務・独占業務ではないと言えます。

観賞用家系図作成に係る行政書士法違反事件の最高裁判決を受け

家系図作成のための職務上請求

家系図作成をするためには戸籍の情報を追っていくことになります。

行政書士は業務で行うのであれば職務上請求を使って第三者の戸籍を委任状なくとることができます。

しかし、上記でも述べたように家系図作成は行政書士業務ではなく職務上請求をすることができません、資格とは関係なく委任状をもらって戸籍を取り寄せる必要があります。

※職務上請求の不正使用は厳罰対象ですので注意が必要です。詳しくはこちら

家系図作成を専門行政書士が多い理由

ここまでの話をまとめると

家系図作成は行政書士業務ではない
行政書士業務ではないので職務上請求も使えない

これでは行政書士がやる意味はないように思います、しかし巷では家系図作成を専門としている行政書士が増えております、これは何故でしょうか?

行政書士は家系図作成は業務ではありませんが、一部相続に関する事は業務として行うことができます、その中には遺産分割協議書等の作成に要する、親族関係図や相続関係説明図等の作成などがあり、その業務のなかでは当然戸籍に関しても取扱い、家系図作成に非常に近い事もすることになります。

つまり、家系図を作ることは業務とは言えませんが、行政書士は戸籍や親族関係を読み解くプロと言えます。そういうところから家系図作成をビジネスとして行政書士が手掛けていったのかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

家系図の作成はをビジネスとすることは行政書士でなくても誰でもできるということは最高裁の判例でもある通りです。しかし、江戸時代まで遡る事ができる戸籍を読み解くにはそれなりのスキルが必要と言えます。

行政書士が業務以外に手掛ける仕事としては面白いかもしれません。

家系図作りに興味がある方は一度お近くの家系図専門の行政書士を探してみてはいかがでしょうか!

 

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